2007年3〜4月
- 2007−4−30(月)の夜
僕の所属する政治学部には教員が約20人いるのだが、その中から毎年6人が互選されて、その6人に学部長を加えた7人の"Executive Committee"が通常はさまざまな決定を行う。そのメンバーの構成については、教授・準教授・助教授の3ランクからそれぞれ最低1人とか、再選の禁止とか、いろいろ細かい規則があるため、決まった有力者がいつも席を占めるわけじゃなくて、いろんな人にお鉢が回ってくる。
で、来年度のメンバーを決める選挙が最近行われているのだが、僕が当選してしまった。そういう仕事をするよりは自分の研究に時間を使いたいと僕は思ってたのだが、同僚たちの間で「来年はコーにやらせよう」とかいう話になっていて、そのせいで楽々と当選。
うえー、面倒くせー、とも思ったが、でも若手から1人はメンバーが出る決まりであり、ほとんど順番で回ってくるようなものだから、仕方ない。それに、同僚たちが投票で僕をそんな大事な職につけてくれたということは、信用されているということでもあるわけだから、ちょっと嬉しくもある。選ばれたからには、真剣に務めよう。
- 2007−4−24(火)の夜
テキサス州の州花・ブルーボネット(bluebonnet)がちょうど見ごろなので、土曜日は花見(?)のドライブに出かけた。ネットでいろいろ検索した結果、ダラスから南に30分くらい行ったところにあるEnnisという町がブルーボネットで有名らしいとのことで、そこへ向かった。快晴で、とても気持ちのいいドライブだった。
Ennisに着いて、観光案内所でパンフを集め、公園に行ったりドライブルートを走ったりした。高速道路沿いなど、いろんなところに綺麗なブルーボネットが群生していて、それはそれは見事なものだった。
 見渡す限り一面のブルーボネット
 拡大してみるとこんな感じ
花が一面に咲き誇っている綺麗な場所も、多くは私有地で、入り込むわけにはいかないのだが、途中で一ヶ所、観光客向けに開放してある場所があって、多くの人が車を止めて立ち寄っていた。僕らもそこでしばらく散策。一面のブルーボネットの中を歩いていると非常に幻想的で、匂いにもうっとりときた。これから毎年来ようと妻と話し合った。テキサス暮らしの楽しみが一つ増えた感じ。とにかく素晴らしかった。
- 2007−4−17(火)の夜
学会が終わってもまだドタバタ生活は続く。今日の統計のクラスの準備にかなり手間取って(&熱中して)、昨夜は朝5時まで仕事していた。3時間だけ寝て、出勤。
今日のクラスは、ダミー変数の使い方と、Multiplicative interaction termを含む回帰モデルについてで、この件についてはこだわりがあるので、教科書で扱っている以上のレベルを教えようと思って入念に準備していたのだが、どうやら難しすぎたらしくて、学生の反応は最悪。授業の途中でやっぱり思い直して、continuousな変数同士のinteractionとその標準誤差の計算法については期末テストに含めないことにしてそう言った。んー、残念。ここは面白いところなんだけどなー(まあ、僕も大学院の1年目では文献を紹介されただけで授業では習わなかったけどさ)。
- 2007−4−15(日)の深夜
シカゴでの学会から無事に戻ってきた。自分の発表はまあまあ普通にできたし、他の人の発表で興味深いものも見たし、有意義だった。現地では、大学院時代の同期生の韓国人W君とホテルの部屋をシェアして、毎晩寝る前とかに、思い出話とか、お互いの職場のこととか、全然関係ないアホ話とか、いろいろ喋って楽しかった。あと、昨夜は一緒に韓国人街に焼肉を食べに行った。他にも、大学院の先輩や後輩、大学院時代にお世話になった教授たち、セントルイスで一ヶ月の研修を受けたときの仲間たち、などなどいろんな人と再会して、話して、とても良かった。セントルイスでの友達の一人はなんと、スタンフォード大学に就職を決めた。凄い。僕も頑張らないとなー。
さあ、春学期も残り僅か。ラストスパートでバリバリ仕事しよう!
- 2007−4−10(火)の夜
学会前のドタバタはまだ継続中(たぶん明後日飛行機に乗るまで続くと思う)。だけど、今日の3時間授業を無事に乗り切ったので、最大の山は越えた感じだ。睡眠不足だし、食事の時間も不規則だし、なんともハチャメチャな生活をしているけど、この学会が終われば今年度ももう残り僅か。ここは大事な踏ん張りどころだ。
今日は疲れていたので、講義もうまくいかないのではないかとちょっと心配だったけど、むしろいつもよりうまくいった感じ。今日は重回帰分析の導入部で、先週扱った単回帰分析からの拡張。単回帰のときはホワイトボードにグラフを描いて説明したけど、独立変数が2つになると二次元のグラフには描けないので、教室の隅のスペースを利用して三次元のグラフに平面を当てはめるという概念を説明した。学生達の表情からすると、きっと成功したと思う。途中で10分間の休憩をとったときにオフィスに戻ってRed Bullを1缶飲んで気合を入れ直した。忙しい日々だけど、自分が面白いと思えることに対して自分のエネルギーを燃焼させている感覚は、何物にも代え難い。
- 2007−4−7(土)の夜





(劇的な逆転勝利で21年ぶりの全国優勝を果たしてくれた選手たちに感謝し、その勢いをもらって僕は自分の論文を頑張ろうと思います。)
- 2007−4−6(金)の朝
来週の学会で報告する論文がなかなか進まずに苦しんでいる。いつも学会前はドタバタのギリギリになるけど、今回は一番ひどいかもしれない。月曜日までに完成させて討論者に送らねばならない。
- 2007−3−31(土)の朝
数週間前から、政治学部の大学院生たちがサッカーで我々教員に挑戦するという話がでていたのだが、なかなか日程が決まらず先延ばしになっていた。それが昨日ついに決行。僕はサッカーは全くの素人で、小学校の昼休みに遊びでやって以来だし、最近ひどい運動不足なのでまともに走れるとも思えず、行きたくなかったんだけど、人数が足りないということで動員された。
ちょうど夕方から雨になったので、また延期だろうと思っていたのだが、場所を屋内に移してやることになった。人数も結局あまり集まらなかったので、5対5の屋内ルールでちょうどよかった。
「プレイする時間より長くストレッチしておかなきゃ」などと冗談を言いながら、入念に準備運動。そして試合開始。なんと、開始数分後に味方の1点目を僕が決めてしまった。しかも、混戦からのこぼれ玉を押し込むとかじゃなくて、軽快に数歩ドリブルしてから、8〜10mくらい離れたゴール左下隅に思い切り蹴り込む会心のシュート(もちろん、隅を狙って蹴ったわけではない)。自分でもビックリしたけど、味方からも観に来てた人々からも大喝采を浴びたので、とりあえずTシャツを腹からまくり上げて頭にかぶるパフォーマンスをやっておいた。
でもその後は全然ダメ。ちょっと走ると息が上がり、腿の筋肉がビキビキいって弾け出しそうになった。結局最初の1点以降は何も活躍できず。でも楽しかった!
- 2007−3−27(火)の夜
春休みが終わって、授業再開。今日は統計のクラスの中間試験をやった。春休みの間にみんなちゃんと勉強しててくれればいいが…、と思ってたのだが、どうやらよく出来た人とそうじゃない人の差は大きいようだ。まだ全部採点してないので分からないけど。
僕の大学院一年目のときも、統計学の中間テストが終わったら消えていなくなってしまった人がいたし、まあ大学院というのはそういうところだ。僕としてはもちろん全員に成功して欲しいけど、でも、内容が理解できてないけど質問に来るわけでもない学生に対しては、はっきり言ってどうすることもできない。オフィスのドアをほとんどいつも開け放しておいて、いつ質問に来てもいいよ、と言ってあるのに、その機会を利用しないのなら、もう仕方ない。「牛を水飲み場に連れて行くことはできるけど、水を飲ませることはできない」という言葉があるけど、それを実感する日々だ。(もちろん、非常に頑張ってちゃんと内容を習得している学生もいるので、その意味で達成感を感じることも多い。そういう学生と将来一緒に論文を書いたりしたら、非常に幸せな気分になると思う。)
この先、期末試験の成績次第では落第点をつけなければいけないこともあるかもしれない。全てが僕の責任ではないとはいえ、僕のつける成績が彼らの人生を大きく左右するということを考えると、責任の重い仕事をしているんだなー、とつくづく感じる。
- 2007−3−24(土)の夜
母校MSUのバスケは残念ながら全国トーナメント2回戦で敗退してしまったが、今年はアイスホッケーも頑張っていて、今夜、ノートルダム大学を2−1で破って、Frozen Four(全国準決勝)進出を決めた。珍しくテレビ中継があったので観戦していたが、非常に緊張感溢れるいい試合だった。最後の数分はずっと祈るような気持ちで応援していた。あーよかった。準決勝は4月5日で、相手はMaine大学だそうだ。
- 2007−3−17(土)の朝
昨日は春休みに入る前日で、昨日までに提出してしまいたかった書類を急いで作った。研究に必要なデータを購入する予算を大学に申請する書類で、学部長(Department Chair)のサインを貰ってから大学本部に持っていったら、カレッジのディーンのサインも必要と言われた。別にカレッジから予算を貰うわけじゃないから要らないだろうと思ってたのに。で、数百メートル歩いてカレッジの建物まで行って、ディーンの秘書に話したら、「用意が出来たら電話する」と言われた。いちいち自分の研究室まで往復してくるのは嫌だし、なんとか早く書類を提出してしまいたかったので、その場で待たせてもらうことにした。どうやらディーン本人ではなく、その下の人(Associate Deanの1人)がサインするようだったが、ソファーで15分くらい新聞を読んでいたら、秘書の人がサイン済みの申請書を持って来てくれた。で、大学本部の建物に戻って、提出。ふー。
(僕の大学は、7つのCollegeと4つのSchoolから成り立っていて、その11組織それぞれの長がDeanである。それぞれの中にDepartmentがあり、Department of Political Scienceが所属するCollege of Arts and Sciencesは学内最大のCollegeで、21のDepartmentを抱えている。)
大学バスケ、母校のMSUは一回戦を快勝で突破したけど、僕の勤務校は順当に(?)一回戦敗退。途中まではいい試合をしていたんだけど。今夜はMSUの二回戦で、相手は名門・ノースカロライナ大学。二年前のFinal Four(準決勝)で敗れた相手だ。
- 2007−3−14(水)の夜
統計のクラスは、昨日で信頼区間と仮説検定のとこまで終わり、来週の春休みを挟んで再来週に中間テストを行う。中間が終わったら線形回帰をやって最後にちょっとだけ最尤法をやって期末テストになる。
必修の授業を教えるのは大変なものである。興味はないけど仕方なく、という学生がほとんどで、しかも、数学は大の苦手という学生も多い(だいたい、数学が得意だったら普通は政治学は専攻しないだろう)。
僕も大学院一年目のときは必修の統計学で苦労したものだが、やはり僕の学生たちも苦しんでいる。毎週けっこう多くの宿題を課しているので、恨まれているかもしれない。「政治の勉強をするために大学院に来たのに、なんでこんなことで苦しまなきゃいけないんだ」と思ってる学生もいるに違いない。クラスの進行からどんどん遅れをとり、絶望的な気持ちになっている学生もいると思う。
だから、授業の冒頭とかによく元気づけの演説をしたりする。「俺も7年前には同種のクラスで苦しんだし、アメリカ中の政治学大学院一年生がいま統計学で苦しんでるんだ。決して君は1人じゃない。成功している政治学者たちもみんなこの道を通ってきたんだ。みんな最初は苦しむんだけど、そこで諦めた人は脱落していくし、踏ん張って頑張った人が成功するんだ。だから諦めるな。助けが必要ならいつでも言え。」「俺の大学院の同期生で、今はかなり高度な統計を使って論文を書いて、いい大学に就職した奴がいるんだけど、彼も一年目のときは必修の統計学で苦しんで、『こんなことをやりたかったんじゃないのに』と不平を言ってたよ。あるときは統計の授業中に彼が突然、『あなたは数字で全てが分かると思ってるのか』なんて教授に質問して、みんなビックリした。でも彼は大変な努力家だから、頑張って頑張ってそして成功したんだ。だから君たちだって、今は絶望的な気分かもしれないけど、ここからの努力次第なんだよ。」とかそんな感じに。こんなことを度々言ってると、「金八先生」とかの学園ドラマの主人公みたいな気分になったりする。
今はみんな苦しんでいるけど、この先彼らがちゃんと統計を使いこなして論文を書いて、見事に大学に就職してくれたら、僕もとても嬉しく感じるだろうと思う。やっぱり僕にとっては、大学院のクラスのほうがやりがいがあるなぁ。
- 2007−3−10(土)の深夜
「小数点以下三桁で四捨五入」とか「一円以下は四捨五入」とかいう感じに、「四捨五入」という方法を子供の頃から極めて普通に使ってきたわけだが、アメリカに来て以来、「四捨五入」じゃなくて「一律切り捨て」の処理を見ることが多いような気がする。つまり、4までなら0に切り下げるというのではなく、9でも0にするというルール。学生の宿題を採点しているときとかに、そういうやり方を見ることがけっこうある。
で、アメリカの初等教育ではどんなふうに教えているのだろうか、また「四捨五入」は英語で何というんだろうか、と気になって調べてみた。
WEBでザッと調べた感じでは、やはりこっちでも「4までは切り捨て、5からは切り上げ」というやり方をするらしく、ただ"rounding"(丸め)と言えば普通はこれを指すようだ。で、もっと詳しく表現すると、"round-half-up"と言うとのこと。というのは、例えば5.5は5と6の中間地点であり、それを6にするのだから、中間地点(half)のものは切り上げる(up)というルールなので。また、一般的ではないものの、コンピューター上の処理でたまに使われる「五捨六入」ルールの場合は"round-half-down"と言う。
というわけで、「四捨五入」は別に日本だけのことではなく、アメリカでもそれが標準であることが分かった。確かに、税金の申告書類でも、49セントまではゼロに、50セント以上は1ドルにしていいですよ、という説明が載っていた気がする。ということは、宿題の計算問題で「単純切り捨て」をやってる学生は、「四捨五入」すらできない、または忘れた、または「面倒だからゼロにしちゃえ」とやってるんだろうか?高校あたりの数学の授業ではそれでもいいことになっているのだろうか?今度、同僚の誰かに訊いてみよう。
- 2007−3−9(金)の夜
母校MSUのバスケチームは、BigTenトーナメントの二回戦で宿敵ウィスコンシン大に敗退してしまった。でもたぶん全国トーナメントには出られるだろうから、そっちで最後にもうちょっと頑張ってくれることを期待している。それにしても、去年のチームから主力3人がNBA入りして戦力がガタ落ちしたのに、結局はBigTen内で8勝8敗という去年と同じ成績を残したのだからよくやったと思う(去年のチームが選手の能力の割にダメ過ぎたというのもあるけど)。
あと、僕がいま勤務する大学も、なんと18年ぶりに全国トーナメント出場を決めて、大学内は大騒ぎになっている。3日前、全国トーナメント出場がかかった試合があったときは、大学の公式ウェブサイトに、この市内でその試合のテレビ中継を流すスポーツバーのリストが載せられていた。そこまでするか?と吹き出してしまったが、でも大学にとってはスポーツチームの活躍は重大な関心事である。それは志願者を増やすためにも、グッズ売り上げによる収入を増やすためにも、卒業生からの寄付金を集める際のアピール材料にするためにも、とにかく重要なのである。
- 2007−3−4(日)の午後
昨日で結婚2周年。記念にどこかに出掛けたりできたらよかったけど、忙しかったのでそれもできず。でも夜は美味しく晩酌して、それから赤飯。
その代わりというわけじゃないけど、金曜の夜は、先月からダラスで公演中の"Cirque du Soleil"(www.cirquedusoleil.com)という集団による"Corteo"というショーを観に行った。僕は全然知らなかったのだが、けっこう有名なショーらしい。ピエロが出てきたり、トランポリン・ジャグリング・空中ブランコなどの曲芸がある点ではサーカスだけど、でもある程度の物語性があるので、純粋なサーカスとは異なるんだろう。主な見世場はもちろん曲芸なんだけど、でも芸の連発が全てなのではなくて、音楽や衣装などが非常に美しく、その意味ではミュージカルっぽいサーカスと形容すればいいのかな?とにかく非常に面白かった。大満足。
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