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留学記「大学院をミシガンで」

6月 < 2000年7月 > 8月


  • 2000−7−1(土)
     ICPSRの1週目が終了。やっぱり、というか、予想以上に、厳しいプログラムだ。毎朝9時から11時まで「最尤法」、そのあと12時まで「社会科学者のための数学II」、の2科目を取っていて、午後は何もない。でも、時差ボケで変な時間に眠くなったりするので、午後につい昼寝してしまったりして、いまいちうまく時間が使えてない。クラスは毎日なので、進むのがやたら速いし。プログラム開始の前日に日本から帰ってくるってのは、あまりに甘く見ていたかもしれない。
     日本はもう相当に暑いらしいが、ミシガンの気候は快適そのものである。夕立がたまに降る以外はだいたい晴れてて、暑すぎることもなく、爽やかな初夏だ。住んでるところから学校に向かう道がちょっと下り坂になっていて、朝、そこを自転車でスピードつけてカッ飛ばすと、痛快に爽快で、一日の活力が沸いてくる感じ。

  • 2000−7−8(土)
     2週目が終了。宿題を2つ抱えた今週末は、かなり気合いを入れて勉強しなきゃならない。昨夜は金曜の夜だというのに朝の3時半まで宿題に取り組んでいた。で、今朝は8時には起きてまた勉強。
     「STATA」という統計ソフトでデータを分析するのだが、まだ使い方に慣れてないので、やたらに時間がかかってしまう。でも、実行ファイルを作って走らせてまた直して…、とかやってたら、中学生のころにBASICでプログラムを組んで遊んでたときのような気分になって、なんだか楽しかった。グラフを描くときも、なんか凝っていろいろオプション機能を使ってみたりとか、色をつけたりとか。そんなこんなで時間がかかって、10時間くらいもかかって宿題の一個が完成。でももう一つある。こっちは火曜までだけど。

  • 2000−7−13(木)
     とにかく難しいったらありゃしない。「最尤法」のクラス、進むのは速いし、宿題は次から次へと出るし(4週間に宿題が8個)。自分がクラスでどんどん遅れをとってゆくのに比例して、気分がどんどんダウンしてくる。昨日と今日でやった多項ロジット・モデル、有用そうなことはよくわかるんだけど、もうちょっと簡単であってくれればもっと有用だと思うんだけどね。げははは。ぐほぐほ。(←壊れ気味)
     あとあと、教室の冷房が効き過ぎで、どこかおかしくなりそう。僕はこの季節にジャンパーを持参で登校して、授業中はそれを着用。それでも寒いことがあるってのに、一部のアメリカ人たちはタンクトップ一枚でいたりする。よくわかんねぇよ、この国。
     ではでは、勉強します。ここんとこ睡眠不足で、なんかシャキッとしないので、今夜こそはちゃんと寝よう。無理っぽいけど。

  • 2000−7−16(日)
     明日から第一タームの最終週に突入。明日提出の宿題もなかなかの難物である。
     おととい金曜の夜は、ここICPSRに来てる日本人6人と、日本の中央官庁からミシガン大学に留学に来てる3人で飲み会。平均年齢の高さ(26か27歳くらい)の割には若い遊びで盛り上がった夜だった。「古今東西」や「007ゲーム」で罰ゲームをやったりとか、怪談とか、トランプの大貧民とか。新潟から持ってきた自慢の地酒を持って行ったら、あっという間に空けられてしまった。ちびちび飲もうと思っていたモノだったのだが、みんなにかなり喜んでもらえたのでそれはそれでよかった。自分の田舎の自慢の酒を褒められると、自分が褒められたような気になる。(ちなみにその銘柄は、〆張鶴・純米吟醸「純」というもの。新潟県村上市・宮尾酒造)
     その飲み会から帰ったのは朝の4時半。それでも僕が最初の脱落者だったのだから、元気のいい集団である。昔は、飲み会を途中で抜けるなんてことは絶対にせずに必ず最後まで残ってたものだが、さすがに大学院で勉強に追われているとそういうわけにもいかない。19歳のころの自分が今の自分を見たら嘆くだろうけど、それはそれで、分別のある大人になったということだ。だいいち、7年前の自分に理解できるような今の自分だったら、成長してないってことじゃないか。これでいいのだ。

  • 2000−7−18(火)
     昨日提出の宿題はなかなかに膨大なモノで、朝の4時半までかかってやっと完成。出来の良し悪しは別として、とりあえず完成。で、3時間だけ寝て、授業へ。
     3時間しか寝てないのに、こういうときは逆に眠くならないもので、意外に集中して授業を聞けた。理解度はいつもより上かも。
     で、初の大リーグ観戦へ!!MSUの友達がクルマで迎えに来てくれて、デトロイト・タイガースの新しい球場、コメリカ・パークへ。
     とても綺麗な球場で、すごく明るく楽しい雰囲気。去年の8月にマイナーリーグの試合を見に行ったときのような「のんびり和やか」な感じとはちょっと違うけど、それでも、殺気立った応援の日本の球場よりもこっちの方がずっと好きだ。
     ホットドッグとビールを買い込んで観戦。相手チームはシンシナティ・レッズで、強打者のケン・グリフィー・Jrが在籍する。グリフィーが打席に登場すると敵チームだというのに大きな歓声が沸いていた(ブーイングも大きかったし)。試合はタイガースが3−1で勝利。ホームランが出なかったのは残念だったが、それでもファインプレーや三塁打など、みどころはたくさんあった。なにより、初の大リーグ観戦・生の野球場の雰囲気に大満足の一日だった。

  • 2000−7−22(土)
     昨日でICPSRの第1タームが終了。「最尤法」の最後の宿題を提出して、「数学II」の最後の授業に出て、おしまい。あー、大変だった。
     で、昨日の夜はたっぷり飲んで、今日は一日リラックスする日にした。「勉強をしない日」と決めて、図書館から借りてきた太宰治の本を読んだり(ちゃんと日本語の本が所蔵されてる)、メールを書いたり部屋を片付けたり。「勉強をしない」と決めて生活してると、逆に、いかに普段は勉強のことで頭が一杯かがわかる。例えば、夕飯のコメを研いでるとき、「さて、これが炊きあがるまでは教科書を読もうか…」とか自然に考えてしまって、違う違う今日は勉強しないんだった、と思いなおす。考えてみれば、大学院に入ってからというもの、「今日はあとすることがない」という状態になったことがないのだ。常に、「あれを読まねば、あれを書かねば」が山積していて、それが一瞬でもゼロになることは決してなかった。まあ、研究者というのはそういうものなんだろうけど。でも、これって精神的によくないんじゃないかなぁ。よほど勉強が好きでないと無理な道なんだろうなぁ。

  • 2000−7−29(土)
     第2タームに入ったら、さらに相当に厳しくなってきた。今度は「上級最尤法」のクラスを取っているのだが、さすがに上級だけあって、内容が高度だ。このクラスでは、4人の先生が一週間ずつ交代で教えてくれるもので、各先生はそれぞれの分野での第一人者らしい。昨日で終わった第一週は、一週間の間に4回も宿題が出るという過酷なもので、3時間睡眠とかのボロボロの生活をしてなんとか乗り切った。しかし、来週の先生も毎日宿題を出すらしい…。
     第1タームの「最尤法」は階段教室での大講義だったが、今回のは20人くらいの小規模クラスだ。だからみんなそれぞれお互いの顔も知ってるし、コンピューター室で宿題をやってるときに、「同じクラスの人だよね?」と話しかけて質問しあったり、なかなかいい雰囲気である。昨日の夜は、先生の発案でクラスの飲み会があった。相変わらず英語がよくわからなくて、会話になかなかついていけなかったけど、それなりに楽しかった。政治学だけでなく社会学の学生もいて、違う分野の話を聞くのは面白かった。(「社会学では合理的選択理論は全く廃れちゃったんだよ」と聞いて驚いた。)

     昨日の朝のこと、同室(というか隣室)のヘンドリック(スウェーデン人)が、彼の授業が始まる10時になっても部屋にいるので、「どうしたんだ?クラスに行かないのか?」と訊いたら、驚くべき答え。「便秘だから下剤を飲んだんだ。だからトイレの近くにいないとね。はっはっは。」
     授業から帰ってから飲めばいいのに!? しかし、昨日は金曜で、授業よりも夜の楽しみの方が大事なのかもね。(でもそのために授業をサボるのは本末転倒だよなぁ)
     彼曰く、「スウェーデンでは繊維質の入ったパンを食べてるんだが、ここではそれが手に入らないんだ。だから便秘になってしまう。」 へー。

  • 2000−7−31(月)
     第2タームの第2週がスタート。今週の先生は、その筋では相当に有名な教授だそうだ。今まで知らなかったけど。
     TA(ティーチング・アシスタント)の話では、今週がこのタームで一番難しくて厳しい週になるとのことで、しかも内容が自分の研究に有用そうだったので、土曜も日曜もずっと予習をしていた。そのおかげで今日の授業はだいたい理解できたけど、どうもこの先生は話が長くて(しかもあまり重要でないことに時間を費やす)、今日の内容が時間内に終わらなかった。だから宿題もやらなくていいとのこと。なんか拍子抜け。でも、明日は宿題が2つでるわけで、それは大変そうだ。しかも明日の夕方にはぜひ出席したい特別レクチャーがあるので、時間が足りなくなりそう!


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