2001−7−10(火)の夜
どうでもいい程度の出来事を一つ。
ゲーム理論の授業は、午前9時から11時までの2時間で、途中で短い休憩をとる。今日の授業中、(休憩はまだかな〜)と時計を見たら、もう10時半になっていて、(なんだ、休憩をとるのを忘れてるのか、先生。でも今日はなんだか時間の経つのが速いな)とか思った。
ちなみに、僕は腕時計は煩わしいから嫌いで、懐中時計をズボンのポケットに入れておく習慣。
もうしばらくしてまた時計を見たらまだ10時半で、やっと、時計が止まってたことに気付いた。しかも昨夜10時半のままだったのだ。気付けよ、早く。
で、授業後の空き時間に、近くにあった時計屋に行って、見てもらった。中を開けて調べた時計屋のオヤジは、「こんなアホな時計は見たことがない。電池を3つも使ってるから、交換に21ドルもかかるぞ」と言った。
その値段は、時計の原価に匹敵する。
原価と同じくらいの値段で電池交換するのもバカらしいと思って、「じゃあ、また安いのを買いなおそうかな。似たようなカタチの時計ある?」と訊いた。
オヤジは店の隅のほうのケースを開けて、綺麗な懐中時計を一つ取りだし、「これが一番安いな。これはワン・フィフティーだ。」
「ワン・フィフティー」とは、1ドル50セントか、150ドルかどっちかだ。
一瞬の空白の後、150ドルだと気付いた僕は、「あ、うん。リッチになったらまた来るよ。ハッハッハ」とか言って、半歩下がった。
オヤジは、「俺は、クオリティー・ウオッチを売るんだ」と言ってニッコリした。皮肉や侮蔑じゃない、いい笑顔だった。
「クオリティー・ウオッチ」という言葉がどうも頭に残った僕は、(将来はあんな店で時計を買いたいもんだな)とか思いながら学校に戻った。
で、午後の授業の間とかに考えて、やっぱり電池交換をしようと思った。21ドルは、時計の原価からすると高いけど、かといって21ドルで気に入ったデザインの時計がまたすぐ見つかるとは限らないし、時計がないと1日でもけっこう不便だったりする。サッサと電池交換して今の時計を使い続けたほうがいいな。
授業が終わって、さっきの店に行ってみたら、もう閉店していた。
自転車で街をうろついて時計屋を探したが、なかなか見つからない。そのうち、ショッピングセンターみたいなとこの中で電話帳を見て、一軒の宝石・時計店の住所を暗記して、向かった。たしか「208 S.Main St.」だった。
着いたその店は、高級な店で、店頭のショーケースには宝石とかロレックスの時計とかがギラギラと飾られていた。
こんな安物の時計を持って行っていいものだろうか、ためらった。それ以前に、Tシャツ・短パン姿で入っていい店なんだろうか。
でも、せっかく来たんだし、入った。
おそるおそる、「電池の交換してる?」と尋ねた。「安物なんだけどさ…」とポケットから時計を取り出して差し出した。
店の人は全然普通の態度で僕の時計を受け取り、修理カウンターで中を開けて、幾らとかも言わないうちに、テキパキと交換を済ませて、時刻を合わせてくれた。
「時計の電池とライトの電池があって、ライトのほうは切れてなかったから、時計の電池だけ換えておいたよ。6ドル36セントだ。」
なんと、ラッキーではないか。一軒目の店がもう閉店してたからここに来たんだけど、それで15ドルも節約できた。
高級店っていう気取りもなく、すごく丁寧な態度で応対してくれて、さすがだと思った。
っていうか、その前に、
一軒目のオヤジ、「クオリティー・ウオッチ」とか言うくせに、すげえいい加減なんじゃない??