[トップページに戻る]


留学記「大学院をミシガンで」

8月 < 1999年9月 > 10月


  • 99−9−1(水)
     "Proseminar in Comparative Politics"の授業、今日までに読んでおかねばならない文献が多すぎて、昨日からずっと読んでたけどとても終わらず、多くの部分が斜め読みになってしまった。で、授業でヤバイことにならないかとドキドキものだったけど、なんとか乗り切った。授業の内容は比較政治学の方法論についてのもので、とても面白かった。比較政治学のあり方について対立した意見を主張する2つの文献が材料で、しかも、一方がもう一方を引用しながら強く批判している。初学者向けに易しく書かれた教科書で学んでいくのではなく、学界の最先端をゆく学者同士の論争をじかに読むわけで、とてもワクワクしたし、大学院生になったんだなぁ、と嬉しく思った。

  • 99−9−2(木)
     今日はフットボールの開幕戦。オレゴン大学を迎えてのホームゲームで、夕方にはスタジアムのまわりにたくさんの観客が集まって来ていた。試合の数時間も前から、駐車場や芝生では観戦の景気づけの宴会がいたるところで繰り広げられていた。(これをTAILGATINGというらしい。アメリカでは屋外の公共の場所での飲酒は違法なはずなのだが、なぜかこれはOKのようだ。)
     僕は残念ながらキップを持っていないのだが、どんな雰囲気なのか興味があったので、キックオフの時間ころにスタジアムのあたりを歩いてみた。・・・人、人、人。さすが、7万人以上を収容するだけあって、とんでもない数の人が球場へ向かって歩いている。ダフ屋もたくさんいて、「チケット!チケット!」と叫んでいる。
     テレビのない部屋に帰って勉強していたが、後半ころになったら耐えられなくなって、友達の部屋に行って観させてもらった。寮のほかの部屋でもチャンネルはここに決まってるようで、味方にビッグプレイがでると寮の建物中から歓声があがった。試合は27−20で勝利!

  • 99−9−3(金)
     自転車を購入。寮から図書館まで歩いて15分近くかかるので、自転車が欲しいとずっと思っていた。この先、深夜に図書館から帰ったりするとき、歩くよりは安心だし。また、せっかくの広いキャンパス、サイクリングしてまわれば楽しそうだ。
     安いものでいいと思っていたのだが、日本でいう「ママチャリ」はどこにも見当たらない。まあ、「お買い物」はすべて自動車のこの国では、そういう実用自転車の需要は低く、自転車は趣味のものになってしまうのだろう。で、売られてるものはほとんどがマウンテンバイク。しかししっかりしたものは数百ドルもするので、とても手が出ない。大型スーパーで安いものを探して、$130のを買ったが、マウンテンバイクにしてはかなり安物で、すぐ壊れたりしないだろうか、けっこう心配である。

  • 99−9−6(月)
     レイバーデイの休日。これのおかげで助かったという感じだ。水曜にする発表と、同じく水曜までの課題に、この週末をすべて使った。なんとか間に合うめどがついた。

  • 99−9−8(水)
     発表は無事にできたし、課題も提出。やっと一息つける。2週目からいきなりこのハードさだから、先が思いやられる。日本の大学にいたころの学期末の忙しさが、ここでは日常である。

  • 99−9−10(金)
     運転免許の試験を受けにいった。アメリカでは国際免許は通用せず、居住する州の免許を取得しなければならない(旅行者はいいと思うけど)。簡単な3択が40問で、8問間違えたが合格だった。30点取ればOKとのこと。1/4も間違っていいのか??
     これで仮免許で、あとは実技試験に受かればいいのだが、今後の自分のスケジュールを考えると、今学期中はとても暇はなさそうだ。まあ、当面はクルマを買う予定もないからいいけど。

  • 99−9−14(火)
     睡眠を削って勉強してたツケがまわってきたようで、体調を崩してしまった。突然の発熱と下痢。明日の授業の予習は諦めて、寝た。

  • 99−9−15(水)
     熱にうかされながらも、出席点だけは取っておこうと、なんとか授業に出た。そのうちに酷い頭痛も始まった。夜、寮の売店で強力そうな薬を買って飲んで、さっさと寝た。

  • 99−9−16(木)
     やはりアメリカの薬は強いらしく、熱も下がったし頭痛も治った。まだちょっとダルいので、無理は禁物だが。今だからまだ良かったものの、学期末に熱を出したりしたら、と思うとゾッとする。健康管理も実力のうちだ。気をつけねば。
     昨日はTA(ティーチングアシスタント)の給料日だった。月給約1000ドル。遣うヒマもないので、けっこう貯まりそうだ。ちなみに、今学期学校に払った金は約1500ドル。内訳は、(寮費$2000+授業料その他$750−奨学金$1250)。この授業料はTA割引料金で、まともに払ってたら4200ドルくらいする。素晴らしい好待遇だ!

  • 99−9−17(金)
     政治学研究科の院生ミーティングがあって、事務的なこととかを話しあったあと、外に飲みに行った。しばらくビールを飲んでないので、少量のわりにけっこう酔った。それにしても、ハンバーガーやサンドイッチをつまみにビールを飲むアメリカ人の味覚が僕には理解できない。
     会計のしかたが面白い。日本だったら人数割りのワリカンにするような場面だったが、ここでは会計書を見てそれぞれが「自分の分はこのくらい」という額を幹事に渡していた。非常にアメリカ的だ。「アメリカ的公平観」と言おうか。日本式のやり方は、たしかに、多く飲む人とそうでない人の間に不公平があるといえばあるが、「飲み食い代」というより「宴会の場を共有した一人としての参加費」という側面を重視しているのではないかと思う。個人の集合が飲食したのではなく、集団で懇親したのだから、という論理。さらに、日本式飲み会の雰囲気として、「誰が多く食べた」とかにこだわるのは「野暮」で「下衆」だという感覚があると思う。アメリカ的感覚では、そういう「粋−野暮」論などよりも、もっとキッパリした個人主義の論理が根本にあるようだ。たぶん。

  • 99−9−21(火)
     統計学の授業中、先生が黒板に描いたグラフが間違ってると思ったので、手を挙げてそう言った。しかし、グラフのどこがどうで、なんてことを英語ではとても表現できなかったので、黒板にまで出て行って、指し示しながら説明した。先生はなかなかわかってくれず、結局、授業後に話し合おう、ということになった。で、授業後にじっくり説明したら、やっとわかってくれて、次回訂正すると言ってくれた。ちょっといい気持ちになって帰った。

  • 99−9−23(木)
     この大学の寮の一つで、地下倉庫から若い男性の死体が発見されたそうだ。ゲゲ。

  • 99−9−24(金)
     月曜日〆切のペーパーのために今週ずっとかかりきりだったが、あと3日である。睡眠を削って、他の授業の予習をいい加減にして、それでも時間が足りない。
     インターネットの通信販売で、プリンターを購入。学校のプリンターも使えるのだが、部屋でできれば便利だし時間を節約できるので。

  • 99−9−25(土)
     ここしばらく、夜遅くまで勉強してても、朝には目覚ましが鳴る前に目が覚める。眠いとかよりも、〆切が迫っている緊張がそうさせるのだろう。こういう精神状態は、かなり不健康な気がする。午後、能率がガタ落ちしたので2時間ほど昼寝して、あとは朝まで勉強。徹夜してても眠くならない。

  • 99−9−26(日)
     いよいよペーパー提出前日。ここにきて煮詰まってしまった。構成がまとまらない。気が焦るばかりで、ちっとも進まない。夜、気分転換になにげなく、大学時代にお世話になった経済学の先生の著書(先生から頂いたもの)を手にとってパラパラ見てたら、思いがけず、いま書いてるペーパーに使えることが載っていた!急いで図書館に行って関連する本を借りてきて、再び徹夜で書きつづけた。

  • 99−9−27(月)
     朝、1時間半だけ仮眠をとって、あとはずっとペーパーを書いた。朝食は抜き、昼食はピザを一切れ(だいいち、腹も減らない)。〆切の3時が迫るにつれて、どんどん焦りが増してゆく。あと4時間くらいになっても、冗談にもならないようなものしか書けてなくて、いっそのこと、この授業を履修放棄しようかとすら思った。しかし、最後の1時間くらいでけっこう書くことが浮かんできて、なんとかカタチだけは繕うことができた。2:55にプリントアウトして、自転車を飛ばして教室へ。もちろん自分で納得いかない出来だが、あと2回のペーパーで挽回できるくらいの範囲にはなんとか入ったと思う。とにかく疲れた。

  • 99−9−28(火)
     昨日のペーパーが終わっても、息つく暇もなく次の課題がやってくる。いままで簡単だった統計学の授業も、次第に難しくなってきた。でも、なんだかんだ言って同級生2人と夕飯を食べに行った。タイ料理の店だったが、アメリカ風にアレンジしているようで、そんなに辛くなかった。ついつい話し込んでしまって、気付いたら2時間以上も長居していた。ま、たまにはいいか。

  • 99−9−29(水)
     珍しく雨が降った。僕の自転車にはドロよけがついてないので、雨の日に乗ると背中がドロだらけになってしまう。そんなわけで今日はカサをさして歩いて登校。
     アメリカ人の学生はあまりカサをささない。これは前回の留学時にも気付いたことであるが、雨の日でも彼らは平気で濡れながら歩いている。見たところ、カサをさしている人は10人に1人という感じだ。男性はさらにその割合が低い。友人に訊いてみると、若者の場合、カサをささずに平気な顔で歩くほうがカッコいいという感覚があるそうだ。特に若い男性の場合はそうで、その方が「男らしい」とか。日本で雨の中を濡れながら歩いていたら、ちょっと変人っぽいけどねぇ。


8月 < > 10月

留学記目次へ


[トップページに戻る]