イタリア紀行・食文化に接す 続編

 フィレンツェを後にした我々は最後の宿泊地ローマに向かう途中アッシジに立ち寄り昼食をとった。アッシジの隣にはあのサッカーの中田選手が活躍するチームの本拠地ペルージャの町がある。ここでは軽くピザを食べながらビールを飲んだ。

 このビールだがイタリアへ来てこれまで飲んだもの同様冷えてないわけではないのだが生ぬるい感じなのだ。折しも真夏、しかも記録的な暑さの続く中という不運に巡り合わせ冷たいものを欲する喉に生ぬるいビールである。ここ数日暑さは厳しくかなり身にこたえていたがホテルの冷房は効きめを感じないほど弱い。店なども同様で全く冷房の無いところも多い。クーラーは非常に高価だそうで一般の家には無いのが普通らしい。暑い夏は長い休みをとって避暑にでかけるお国柄であるから必要も無いのかもしれないが…。また環境保護の意味合いから自動車の車内は外気より5度以上低くしてはいけないという法律があるので移動中のバスも常に生暖かい感じだ。さらに停っている間はエンジンを切らなくてはならないという規則もあるのでドライブインなどで休憩している少しの間に車内は暑くなってしまう。それでも我々の乗ったバスは古い型なので自分で温度を調節しなければならず多少低めにごまかすことができ、ましなほうだということであった。新しい型の車は自動的に温度が制御されてしまうらしい。

 そういえばホテルの冷蔵庫もそれほど冷えていなかったし、ベニスで出てきたウイスキーのオンザロックには小さな氷が2個入っているだけであった。この国ではあまり冷たいものはないようだ。

 夕刻、ローマに到着するが一年の中でも一番の祭日である聖母被昇天祭を二日後に控え多くの店は休業中で町の人通りもまばらである。今まで訪れたどの町も普段は交通渋滞で観光バスもなかなか時間どうりには事が進まないらしいがこの時期だけはどこへ行ってもスイスイなのだそうだ。いいレストランはたいがい休業中とかで旅行者にとっては困ったことである。旅の楽しみのうち半分は食事なのだから。

 「ローマの休日」という映画はご存知と思うが、このなかでオードリー・ヘップバーンがスペイン階段の前でジェラートを買って食べるシーンがある。ジェラートは粘り気のあるイタリアのアイスクリームである。彼女は食べていたジェラートをポイと捨てるのであるが、観光客が同じようにポイポイ捨てるものだから大変なことになってしまったらしい。今ではこのスペイン階段の前ではジェラートの屋台を出すことは禁じられてしまった。気分を出したい人は有名なトレビの泉の横にジェラートを売る売店があるのでここでどうぞということだ。

 ナヴォーナ広場の前にあるカフェ・ベルニーニという店で偶然食べたペストというパスタのソースは素晴らしかった。緑色をしたソースは生のバジルの葉と松の実、ニンニクなどにオリーブオイルを加えすり潰し粉チーズを混ぜて作る。これにゆでたてのパスタを和える簡単なものである。もちろんパスタは食べごろのアルデンテ。実はこの適度なゆで具合のアルデンテにアメリカではなかなかお目にかかれない。大体ゆで過ぎなのである。さすが本国イタリアではアルデンテが存在していたと感激した次第である。(2/28/99)


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