セント・クロイ
カリブ海に浮かぶ島、セント・クロイに行ってきた。セント・クロイはアメリカ合衆国領バージン・アイランドの一つである。バスケットボールに興味のある人なら知っているかもしれないが、昨年度NBAで優勝したサン・アントニオ・スパーズのスター、ティム・ダンカンの出身地でもある。我々の出発する予定の11月23日の数日前、11月17日にハリケーン・レニーという季節外れのハリケーンがセント・クロイの南端を通過するという悪いニュースが入ってきた。
ハリケーンは台風とは回転が逆だが同じ性質のものだ。カリブ海は毎年常にハリケーンの危険にさらされており過去には1989年のヒューゴー、1995年のマリリンといった大型ハリケーンがカリブ海諸島に大きな被害を与えている。ところでこのハリケーン、日本の台風が番号を付けるのと違ってそれぞれに名前が付いている。その年発生したハリケーンはアルファベット順にAから名前が付けられ、レニーの場合はLから始まるので12番目のハリケーンということになる。昔は女性の名前が付けられていたのだが差別だという(女性の)声が上がり今では男女交互に命名されている。今年はデニスと呼ばれるアメリカの気象観測史上最大というハリケーンがニューヨーク地区にも到達するというので大騒ぎになったが寸前で熱帯低気圧になったものの大量の雨を降らせ学校は休校となり、場所によって浸水や数日に及ぶ停電、電
話回線の不通などの大きな被害をもたらした。
出発前の気象情報ではハリケーン・レニーも何らかの被害を現地にもたらしているというのだが詳細は中々わからない。チケットの手配をしてくれた旅行代理店からも電話があり一応すべて問題なしという連絡があったのでとりあえず出発した。去年の同じ時期、メキシコ、カンクーンへ行く際飛行機に乗り遅れるという大失敗があったので今回は十分な時間的余裕をもって出発した。どうも我々の旅はアクシデントが付き物で必ずといってい
いほど何か起こる。これも旅の醍醐味なのかもしれないが、今回も不安の旅立ちと相成った。
セント・クロイの空は台風一過というのかハリケーン一過というのか南国の太陽がさんさんと輝いていた。しかし交差点の信号が壊れていたり、港の桟橋が倒壊していたり船が岸に打ち寄せられていたり土砂崩れがあったり、常緑のはずの木々が茶色く枯れていたり、木がなぎ倒され枝が散乱する様相はハリケーンの凄さを物語っていた。ホテルの周りも何となく荒れているようにみうけられた。部屋のテレビも殆ど映らずこれもハリケーンのツメ跡と諦める。ホテル側の話では毎日夜遅くまで復旧に努力しているとのことだったが時間がゆったりと流れる生活の中にいる島の人々はのんびりとした感じであった。
ところでこのバージン・アイランドというところは不思議なことにアメリカ領なのに車は日本と同じ左側通行なのである。ところが車はアメリカ同様左ハンドルなのである。これだけでも十分走りにくいと思うのだがさらに道は狭く坂道も多い。対向車がセンターラインを越えてこちらへ向かってくることなど日常茶飯事で危ないったらありゃしない。なんでこんな不合理なことをしているのか理解に苦しむ。このこと以外はアメリカと同じで通貨は米ドルだし、言葉は英語だし飲食物も特にかわりはなくアメリカ領であることを実感する。
クリスティアンステッドという小さな町はこの島のいわゆる繁華街でレストランや商店が軒を並べているのだが我々が行ったときはハリケーンのせいか、シーズンオフなのか殆ど閉まっていた。ここからバック・アイランドという無人島へのツアーがある。バック・アイランドはアメリカのナショナルパークに指定されており、島を囲むサンゴ礁にはカラフルな熱帯の魚が群れ島には
野生のサボテンが群生している。ツアーは船でサンゴ礁まで行きシュノーヶリングツアー(3メーター程の海底に見学コースが矢印で示されている)の後に島に上陸しビーチで日光浴という趣向であった。
ハリケーンの後遺症のおかげで外界から遮断されたことが世間の雑事から開放される結果となった。人けの無いビーチでただ過ぎ行く時間に身を任せるのもいいものだ。(12/2/99)