遅刻

 感謝祭の休日を利用してメキシコ、カンクーンへの旅を計画した。カンクーンへは2度目なので気持ちにも余裕があり、準備も前日に簡単に済ませた。

 予定ではジョン・F・ケネディー空港午前7時発、現地時間で午前10時にはカンクーン着(時差があるので飛行時間は4時間)、空港からはタクシーで30分程度だから昼前にはホテルにチェックインできる。昼にはビーチで日光浴…のはずだった。

 旅行日当日、カンクーン行き飛行機に乗るべく自宅を5時に出発した。自宅からジョン・F・ケネディー空港までは車で約30分。まだ朝のラッシュには間が有るから渋滞の心配はない。チェックインには十分間に合う予定だ。ところがハイウェイでまさかの渋滞に巻き込まれてしまった。工事か何かでの一時的なものと高をくくっていたがあまりに動かないので仕方なく他の道に回った。空港のチェックインカウンターに到着したのは6時50分。出発までにはまだ10分あるから何とか滑り込めると思った。ところが乗るべきはずの航空会社の名前が見当たらない。聞けばチェックインは終了してもう乗れないから明日の飛行機を予約しろという。案内されたカウンターに行くと明日の飛行機は何とキャンセルで飛ばないという。一番早い便で予約できるのは三日後だという。それは我々が帰ってくる日でそんなものを予約しても何の意味もない。困った顔をしていると女性の上司がやって来て「旅行代理店に戻り他の航空会社の便をとり直しなさい。」と言ってくれた。それにしても今日飛べるかどうかの保証はないし途方に暮れていると、乗り継ぎで行く方法があり現地時間で今夜9時頃到着するという。まずニューヨークからサン・サルバドル(エル・サルバドル)へ行く。そこからガテマラシティー(ガテマラ)へ行く。そこで暫く待ちカンクーン行きに乗る。これで何とか今日中にはカンクーンに到着する。昼にはビーチという予定は大幅に狂ってしまうが、この際贅沢を言ってはいられ無い。二つ返事でOKした。先程の上司には「今度はもう少し早く家を出て2時間前には来てくださいね。」と優しい口調ながらもしっかりと釘を刺された。

 というわけで午前8時45分発サン・サルバドル行きの機上の人となった。機内は殆どスペイン語の世界。観光客は我々だけのようであとは里帰りという雰囲気の人たちだ。南米の航空会社なので英語のアナウンスもかなりスペイン語なまりで非常に聞き取りにくい。機は予定通り12時30分、サン・サルバドルに到着。時差があるので4時間45分かかったことになる。空港内で証拠(?)の写真を撮り、エル・サルバドルの名の入った土産物を買う。

 1時間後今度はガテマラに向けて出発。飛んだと思ったら30分後の午後2時にはガテマラシティーに到着。タラップを降りて一応ガテマラの地を直に踏んで空港ビルに入る。これからが長い待ち時間となる。カンクーン行きは午後6時15分だからたっぷり4時間は有る。出発ロビー内にはお土産店が沢山ありここでもガテマラの名の入った置物を記念に買う。ガテマラの名産のコーヒーやガテマラ国産のビールを無料でサービスしてくれるカウンターがありそれを飲んだり読書をしたりして時間をつぶす。カンクーン行きの搭乗口が見当たらないので聞いてみるとそこから少し離れたターミナルに案内してくれた。こちらの出発ロビーはかなり寂れた感じで置いてあるイスなども薄汚くボロでとても国際線とは思えない。ここでチェックインしてあった我々の荷物を確認し係員から新しい座席番号をもらった。乗ってみてびっくり、ビジネスクラスのシートではないか。サービスはエコノミーと同じであったがゆったりとした座席は乗り心地もよく実に儲けた感じがした。又、機内で出たステーキサンドイッチは空腹も手伝ってこの上なく美味かった。悪いことばかりではない。
 
 ところで、あとはカンクーン到着とばかり思っていたこの機はその前にもう一度小さな空港に寄航した。経由地点でカンクーン行きの人たちは乗ったままだったのでその時はそこがどこかも分から無かったが、後で同じガテマラ国内のフローレス(FLORES)という土地であることが判明する。意外に多くの人たちがここで降りたが、面白いことに降りた殆どの人達がヒスパニック系であったのに対し乗り込んできた人達はヨーロッパ系の旅行者であった。15分後に離陸した同機は午後8時10分頃、目的地メキシコ・カンクーン空港に到着した。ほんの少しの遅刻が予定から約半日遅れる結果となった。寄港地は出発地を含めて5カ所、延べ4カ国。急ぎの旅ではなかったのでそれなりに結構楽しんだが、さすがにホテルに着いた時には夜の街に繰り出す気力はなくなっていた。これからは時間に余裕を持って行動しよう。これが今の私の課題だ。(11/30/98)


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