アメリカに住みついて早いものでまる10年が過ぎてしまった。長く住んでもなかなか上手くならないのが英語。移民の国アメリカはさまざまな国の言葉を話す人間が同居しており、必ずしもみんな英語が得意なわけではない。だからといって開き直るわけではないが、さしあたって生活上は特別不便も感じないので相変らず不勉強のまま今日にいたっている。それでも生活していると色々表現の違いに気づいたりするもので、今回はそのいくつかを紹介してみよう。
日本のマスメディアには片仮名表現がじつに多い。多くが英語から来ている言葉なので、英語圏にいると便利なことも多い。ところがなかにはジャパニーズイングリッシュというのがあり、いかにも英語らしい言葉が全く通じないことがある。たとえば車に関する言葉。ウィンカーはTurn
Signal、フロントグラスはWindshield、バックミラーはRearview Mirror、クラクションはHorn、ハンドルはSteering
Wheel、ガソリンスタンドはGas Stationが正しい言い方。全く意味の違うものもあるからご注意。有名なものではお菓子のシュークリームはCream
Puffといい、英語でShoe Creamといえば靴磨きのクリームのこと。洋服やでトレーナーを探しても売ってない。英語ではSweat
Shirt、といいTrainerはボクシングのトレーナーなどの訓練をする人のこと。ショートカットというと短い髪を想像するが、Short
Cutは近道のこと。きりがないので後は辞書に任せることにしよう。
ありそうでないものをいくつか挙げると、バーやレストランでレモンスカッシュを注文してもない。レモネードが似ているがちょっと違う。ジンにライムジュースを入れた緑色の飲み物ジンライムも無いのでご注意。「ジンアンドライム」と注文すればジンに本物のライムのスライスを浮かべてくれる。東京にいたころアメリカンドッグというのをよく食べたが、本場アメリカには無い。似たようなものをスーパーマーケットで見つけたが名前も違い美味いものではなかった。「喫茶店」という趣の店は皆無といってよい。"Coffee
Shop"と看板を掲げる店はたくさんあるが、これは軽食を出すレストランで雰囲気は全く違う。又そこへ入って「ホット!」などと注文しないこと。コーヒーはあくまでコーヒー。またアメリカのコーヒーは確かに薄いが、アメリカンとは言わない。ただし、イタリアンカフェと呼ばれる店に行くとコーヒーの種類も色々とある。この手の店のメニューには確かに"American
Coffee"というのがあるがこれは普通のコーヒーのこと。
文房具のホチキスがまた通じない。Staple が正しい。ホチキスとはこの発明者の名前。日本ではこちらが商品名としてポピュラーになってしまったというわけ。あまりに製品が有名で商標が代名詞になってしまった例としては、クリネックスは塵紙の呼び名になっているし、Cokeといえばコーラの代名詞としてあまりに有名。コピーマシンの最大メーカー”ゼロックス”は”コピーする”という意味の動詞として使われる。
GWといえば最近の日本の新聞を読めばゴールデンウィークのことをさすようだが、こちらでGWといえば初代大統領ジョージ・ワシントンのこと。JFKがジョン・F・ケネディであることはご存じと思うが、KFCは何かと言うと、ケンタッキーフライドチキンの略称。KFCでセットを頼むとBiscuitというぼそぼその小さいパンがついてくるが、日本で言うビスケットとはだいぶイメージが違う。マクドナルドでBLTとあるのは”ベーコン、レタス、トマト”のサンドイッチのこと。又フライドポテトはアメリカではフレンチフライという。ついでに言えば野菜のオクラは英語でもOkra。
FourとForの発音が似ていることから「車売ります」という意味で「4 Sale」という貼り紙を付けた車を街で時々見かける。同様にYouをU、TeaをTという具合に略してしまう。バンドのリハーサルの際譜面に"I
only have eyes 4 U (for you の意味)"と題名が書かれていた。名曲"Tea
for two"(二人でお茶を)などは"T 4 2"と書かれておりこれじゃなんのことだかさっぱり解らない。
マンハッタン、コロンバスアベニューの88丁目に"Ate Ate"という名の食料品店がある。eat
の過去形 ate と「8 (eight)」の発音をかけて88丁目をAte Ate (「食った食った」という感じか?)という店の名前にしてしまった。"Eye
Lab" (Lab=Laboratory)という眼鏡のチェーン店があるのだが、"I Love"をかけたものであることは明白。
こうやってみると英語もなかなか面白いものである。(1/27/93)