冷蔵庫が壊れた

 ある日、冷蔵庫が壊れた。数日前から何か冷凍室のアイスクリームが柔らかいような気がしていたのは気のせいではなかった。氷は解け出しアイスクリームはドロドロ、冷凍してあった肉や魚も柔らかくなってしまった。あいにくその前日寂しくなりかけていた冷蔵庫の中身を満たすべく思いっきり買い物をしていたものだから大変だ。慌てて氷の袋を数個買ってきてクーラーボックスに食料を避難させた。うちは釣りやキャンプをするので大小3〜4個のクーラーボックスがある。ここではこれがおおいに役立った。しかし所詮クーラーボックス、生ものが悪くならないうちに料理にどんどん使うが簡単になくなるものではない。こんなことなら買い物などするのではなかったと後悔するが今となってはもう遅い。

 とりあえず修理を頼み数日後、残った食料は直った冷蔵庫に戻った。安心してまた買い物をしたのが間違いだった。また壊れたのである。二度目は手際も良く速やかにクーラーボックスへ食料は移動。冷蔵庫はまたも修理。心の中では修理屋が「そろそろ換え時ですよ」と言うのを覚悟(期待?)していたが、意外にもまた直ったのである。しかし今度は我々もすぐには信用しなかった。買い物も控えめにし様子をうかがっていたがとりあえず使える状態であった。但し今回は明らかに違う点が有った。モーターの音がうるさいのである。気にしだすと頭から離れない雑音がするのだ。それでも特別不自由のない日々が続いていたのだが、ある日またアイスクリームが柔らかいことに気づいたのである。日頃からアイスクリームをよく食べる我が家ではこの変化には特に敏感だった。これは買うべきときが来たと家族会議で即決まった。

 ところでアメリカで生活していると冷蔵庫を買うということは滅多にない。賃貸住宅には冷蔵庫は備え付けが常識。したがって引っ越し荷物に冷蔵庫はないのが普通。今まで色々なところに住んできたが当然冷蔵庫は置いてあり壊れた際も大家さんの責任で直してくれたり新しいものに入れ換えてくれたりした。逆に言えば賃貸住宅に住んでいる限り住人は冷蔵庫を選ぶことはできないのである。
 が、今回は違った。6年前に今住んでいるコンドミニアムを購入し移り住んだが、冷蔵庫はすでにそこに置かれていた。いや、冷蔵庫も一緒に買ったというのが正しい表現かもしれない。今度は大家さんはいないのだから自分で何とかしなくてはならないのである。かくして我々は初めて冷蔵庫を選ぶこととなったのであった。色々とドタバタの有った末の今回の冷蔵庫購入だけに我が家のキッチンに新品の冷蔵庫がおさまった姿を見た時は何とも言えぬ感慨が有った。
 今は安心して買い物もでき平穏無事な生活が戻った。冷蔵庫無しでは考えられない現代生活ゆえに冷蔵庫は備え付けなのかという実感をした事件であった。(12/1/97)


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